「イスラエルビジネス・経済情報配信メール」の2015年1月号バックナンバーです。閲覧には購読登録(無料)の上、登録時に配布されるユーザー名・パスワードによるログインが必要です。

2015年1月号目次
  1. イスラエル経済月報、イスラエル経済概況(在イスラエル日本大使館作成)
  2. イスラエル技術情報散歩: 網膜上に移植するインプラント – nanoretina
  3. イスラエルと日本–ビジネスの現場から: 世界で唯一の単一カメラによる自動車衝突防止補助システム、Mobileye – ジャパン・トゥエンティワン株式会社 代表取締役社長 加藤充様

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2015年1月号

公益社団法人日本イスラエル親善協会(JIFA)ビジネス交流委員会です。

「イスラエルビジネス・経済情報配信メール(2015年1月号)」をお届けいたします。

【JIFA会長秋山哲より新年のご挨拶】
新年早々、安倍首相が中東訪問へ出発します。イスラエルでもネタニヤフ首相ら首脳と会談することになっています。これを迎えるイスラエルでは、両国経済活動を活発化する施策を閣議決定しました。

昨年にはネタニヤフ首相が来日し、続いて経産大臣や総務大臣がイスラエルを訪問しました。経団連の使節団など、経済界の交流も盛んに行われました。私は、日本とイスラエルを巡る潮流の潮目が変わったと感じています。今年、さらに大きく潮流が動いてくるものと期待しています。

大事なのは、民間経済界が腰をすえてイスラエルとの交流、協力に乗り出していくか、どうかです。私共は、企業の積極的な活動を支援する環境作りに力を入れてまいります。皆様のご協力、ご支援をお願い申し上げます。

公益社団法人日本イスラエル親善協会
代表理事会長 秋山哲

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JIFAイスラエルビジネス・経済情報配信メール(2015年1月号)

【目次】
1. イスラエル経済月報、イスラエル経済概況(在イスラエル日本大使館作成)
2. イスラエル技術情報散歩
3. イスラエルと日本–ビジネスの現場から

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1. イスラエル経済概況、イスラエル経済月報
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在イスラエル日本大使館経済班が作成するイスラエル経済概況、イスラエル経済月報をお送りします。
内容詳細は各URLよりご覧下さい。
※ 閲覧にはIDとPassの入力が必要です。(ID : jifa / Pass : business)

□ イスラエル経済概況(2014年12月号)
https://www.japan-israel-friendship.or.jp/magazine/business/files/israel-economic-overall_1412.pdf

1. 経済成長率関連
・第3四半期の成長率は年率換算でマイナス0.4%、OECDは2015年の経済成長率を3.0%と予測
・イスラエル中央銀行は、2015年の経済成長率を3.2%になるとの予測
・イスラエルの貧困率は加盟国中最悪レベル
2. CPI(消費者物価指数)関連
・過去12ヶ月でマイナス0.1%が継続
3. 貿易関連
・11月期の輸入はほぼ横ばいである一方、輸出は増加。
4. 失業率推移
・11月期の失業率は、5.6%と前月比でさらに改善
5. 為替推移
・ドル/シェケル推移
・円/シェケル推移
・主要株価(TA25)推移
6. 経済トピックス
・イスラエルの次期総選挙が来年3月17日に決定

※ 次月(2015年1月)の「イスラエル経済概況」は都合により配信を見送らさせていただきます、ご了承下さい。

□ イスラエル経済月報(2014年12月号)
https://www.japan-israel-friendship.or.jp/magazine/business/files/israel-economic-mrep_1412.pdf

1. 経済指標 : 中央統計局、中央銀行発表等
2. 経済事項 : イスラエル主要各紙(エルサレム・ポスト、ハアレツ、グローブス)の経済関連記事抜粋
・ネタニヤフ首相は、ラピード財務大臣とリヴニ司法大臣を解任。解散総選挙へ。
・イスラエル天然ガス開発の一つであるRatio Oil Exploraton等が発表した報告よれば、イスラエル沖のNeta and Royee鉱区に新たな天然ガス田の可能性
・イスラエルの電力公共機関(Public Utilities Authority)は、1月からの電気料金が9.4%引き下げられると発表
・中国検索大手のバイドゥは、イスラエルの映像キャプチャー技術のベンチャーであるPixellit社に300万ドルの直接投資
・英コンサルタント大手のプライス・ウォーターハウス・クーパーズは、イスラエルのハイテク・バイオ関連のエグジットが約150億ドルと前年の76億ドルの約2倍で過去最高を記録したと発表
・イスラエルのスタートアップ企業が最初のファンディングからエグジットまでの平均期間は3.95年となり欧米のそれを上回っている
・観光省は2014年の観光客数が、本年夏のオペレーション・プロテクティブ・エッジがあったにもかかわらず、前年比7%減の約330万人であったと発表
3. 展示会、国際会議の予定

※ 次月(2015年1月)の「イスラエル経済月報」は都合により配信を見送らさせていただきます、ご了承下さい。

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2. イスラエル技術情報散歩
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イスラエルは高い技術力を背景とした起業文化を持ち、経済に大きな影響を与えている事は非常に有名です。そこで、コラム「イスラエル技術情報散歩」では、JIFA所属のテックライター「小次郎」氏によりイスラエルのユニークな技術・企業の紹介をお届けします。

□ 網膜上に移植するインプラント – nanoretina

こんにちは、JIFAの小次郎です。
本年もよろしくお願いします。

今年初めてという事で、是非ご紹介したいのは、nanoretina。もしかすると聞いたことがある方も多いかもしれませんね。

この会社の技術は、網膜上に移植するインプラントにより、網膜可変性疾患によって引き起こされる失明、視覚障害を治療するというものです。

網膜可変性疾患の患者の網膜は光受容体と呼ばれる神経系がダメージを受けておりそれが障害を引き起こしていて、光を受けてもほとんど脳に信号を送らなくなってしまうのですが、この光受容体にインプラントによって直接刺激を送るという原理です。

簡単にご説明いたしますと、まず光センサーを搭載した小型のチップ(赤ん坊の爪程度の大きさ)を眼球内の網膜上にセットします。チップからは小さな無数の針が出ており、これが網膜内部の光受容体と一体化します。

このチップに特定の光が当たると、無数の針を介して受容体に直接刺激を送る事で神経を活性化させるというものです。チップに当てる光は、専属のメガネから照射され、普通のメガネと同様に日常的に装着する事ができ、QOLを低下させる事は殆どありません。

加齢黄斑変性症は欧米では失明の原因のトップとも言われ、日本国内でも高齢化社会が進むと共に患者数も急激に増えているとも言われています。

今回ご紹介した技術だけでなく、最近ではiPS細胞やES細胞などを使った再生医療による治療も進められており、将来は多くの患者が失明から治るようになる事、色々な治療の選択肢が与えられる事が期待されますね。

・nanoretina http://www.nano-retina.com/

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3. イスラエルと日本–ビジネスの現場から
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コラム「イスラエルと日本–ビジネスの現場から」では、日本・イスラエルにおけるビジネス事例をご紹介いたします。
□ 世界で唯一の単一カメラによる自動車衝突防止補助システム、Mobileye – ジャパン・トゥエンティワン株式会社 代表取締役社長 加藤充様

第2回は、世界で唯一の単一カメラを用いた自動車衝突防止補助システム、Mobileyeを国内展開するジャパン・トゥエンティワン株式会社様の事例をご紹介します。

1. ジャパン・トゥエンティワン株式会社設立のきっかけ
今から16年前に遡りますが、当時、私が日本代表を務めていたイスラエル企業が売却との事情で全社閉鎖となりました。しかし、日本において納入した製品(ビデオオンディマンド、ビデオ会議システム)の製品保証やアフターサポートを誰が責任を持って行うかとの問題で、私が、その企業の日本法人を買い取る形で再スタートさせたのが現在のジャパン・トゥエンティワン株式会社の始まりです。

その後、幾つかのイスラエル製のハードウェア、ソフトウェア、サービス、などを日本のお客様のニーズや市場の要求に合わせ、リモデリングして提供するビジネスを行ってきました、成功した商品やサービスもありますし、期待に沿えなかったモノもあります。

その中でこの3~4年で大きく化けたといいいますか、事業の中で大きなポーションを占めるに至った製品があります、車の衝突防止補助システムです。最近、日本の自動車メーカーが積極的に自動緊急ブレーキの開発、装着を進めている事も背景の一つと言えるかもしれませんが、そこに至るまでのエピソードも含めご紹介させて頂きます。

2. Mobileye、およびそのビジネスモデルについて
エルサレム市に本拠を置くモービルアイ社が開発し、世界中の自動車メーカーで採用・販売されているこの衝突防止補助製品のコアテクノロジーはマイクロプロセッサーEyeQ2に収められたビジョンベースの動画処理技術による衝突警報システムです。

ベースは車載カメラの動画情報を基に認識、予測、判断するアルゴリズムです。これだけを10数年間に亘り研究・開発してきたイスラエルの研究者による特許と頭脳が埋め込まれているチップと言えます。

モービルアイ社のビジネスは大きく分けて二つの事業というかビジネスモデルで構成されています。

マイクロプロセッサーEyeQ2を自動車メーカーや車載装置メーカーにOEMとして販売するビジネス、この場合は車の衝突防止装置として自動緊急ブレーキを作動させる信号を送る働きをするもので、当然新車に組み込まれる装置の部品として世界の自動車メーカーの車種の7割を超すシェアを誇っています。日本でも、日産、三菱、ホンダ等のメーカーが採用し組み込んでいます。

もう一つのビジネスモデルは同じコアテクノロジーであるEyeQ2を利用する製品ですが、こちらは現在使用中の車に後付けで取り付ける装置です、ジャパン・トゥエンティワンはこの後付け製品の日本でのマスターディストリビューターとして輸入、販売、アフターサービス、等を行っています。

現在使用されている殆どの自動車、乗用車は勿論、トラック、バス、商用車やリースで使われている車などに2~3時間の作業で取り付けが可能です。製品構成は最新の530モデルでは大きく二つのコンポーネントから構成されています。車内のフロントガラス上部(乗用車)または下部(大型バス・トラック)に取り付けるカメラレンズと基盤、スピーカーなどを一体化したメインコンポーネントと、車のダッシュボード上に取り付けるアイコン表示ディスプレーです。

3. 従来の常識を覆す製品開発方針、誕生のきっかけとなった日本とイスラエルの関わり
従来、この種の衝突防止装置に使われるカメラは2眼レンズ式が当然視されていました。これは従来の三角測量を原点とした測距機の技術を使い対象物までの距離を測定するものです。しかしながら、モービルアイ社の技術開発陣は一つのレンズで対象物、この場合は前を走行する車や、人間、自転車、バイクまでの距離など相対速度を元にリアルタイムで捉え、危険と判断した場合や、衝突の可能性が高い場合は瞬時に警報を出す仕組みに昇華させる事に成功した訳です。

この単眼レンズによる開発の馴れ初めには日本とイスラエルが大きく関わっている事に今更ながら感ずるモノがあります。

16年前、ある日本の大手自動車メーカーがイスラエルの科学者に2眼レンズ方式による衝突防止装置の開発を依頼しました。イスラエルの科学者は「日本では2眼レンズを考えているが自分は単眼レンズでより精度の高い装置を開発する」と豪語し、単眼レンズでも「遠近法の原理」で距離を正確に測定し、7項目の並列処理が可能な独自開発マイクロプロセッサーEyeQ2を使用する事で、前方車両、歩行者、二輪車、車線(レーン)との距離や相対速度を割り出して衝突や車線逸脱を警報する装置の開発に成功した訳です。

4. イスラエル企業としては過去最大のIPO事例、世界の交通事故削減に貢献
昨年8月にこのイスラエル企業、モービルアイ社はニューヨーク証券取引所に上場を果し、現在ではその時価総額は6,000億円程度で推移しています。過去のイスラエル企業の上場事例の中では最大のIPOとして世間の耳目を集めています、勿論その背景には米国や欧州、日本で進化する車の自動運転技術にとって必須のテクノロジーとしての期待もあります。

いずれにしろ、日本の自動車メーカーが最初にこの開発を依頼しなければ、モービルアイは誕生しなかったかもしれません、または、モービルアイが無かったらこんなに早く日本の車に自動緊急ブレーキの搭載が進まなかったかもしれません、OEMでの供給にしろ、ジャパン・トゥエンティワンの後付けのモービルアイ製品での供給のどちらにしろ、イスラエルが生み出した技術と製品が日本は勿論、世界中で不幸な結果をもたらす交通事故の災禍を減らす事に貢献している事は間違いなく、このビジネスに関わっている人間として誇りに思う次第です。

5. 本件に関する問い合わせ先
ジャパン・トゥエンティワン株式会社
info@japan21.co.jp

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発行日 : 毎月15日
発行元 : 日本イスラエル親善協会ビジネス交流委員会
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