日本イスラエル親善協会は6月4日、東京で講演会『ユダヤ人を救った日本人「樋口季一郎」』を開催致しました。講師は、樋口季一郎氏の孫である国際音楽学会副会長・樋口隆一さんで、24歳まで季一郎氏と生活を共にし、祖父からユダヤ人救出について具体的な話を聞かされていた人です。

軍人であった樋口季一郎氏は終戦の時点では陸軍中将でしたが、ユダヤ人救出は、日中戦争最中の1938年3月のことでした。当時、中国東北部にあった日本の影響下の国「満洲国」とソビエト連邦の国境の駅オトポールにナチスの迫害を逃れてきたユダヤ人が押し掛けました。厳寒で食料もなく苦しむ彼らを、特別列車を仕立てて救出し、上海などへ脱出させたのが樋口氏でした。

講演では、樋口氏の生立ち、軍歴、人柄などが説明され、陸軍大学卒業直後に赴任したウラジオストックでユダヤ人家庭に住んだことが、後の救出につながると説明されました。また、1937年にはハルピンに駐在し、そこで第1回極東ユダヤ人会議開催を承認するという仕事もしていることが紹介されました。

オトポールから救出したユダヤ人の人数についていくつかの説がありますが、樋口さんは「記録が失われているので不詳が正しい」と述べました。それとともに、季一郎氏自身の書いたものでは数千人となっていること、JTBの前身である東亜旅行社の記録を計算すると数千人になること、ユダヤ人側では2~3万人とされていること、を紹介し、救出作戦の実働者であった河村愛蔵憲兵大佐が後に2万人に統一したのではないか、という見方を説明されました。

講演会のご案内

なお、樋口隆一さんによる同じテーマの講演会が、以下のように予定されています。

  • 日時 : 7月20日(月・祝)午後2時~
  • テーマ : 「大勢のユダヤ人難民を救ったもう一人の日本人、樋口季一郎」
  • 講師 : 樋口隆一氏【第一部】
  • 主催 : 日本を愛するキリスト者の会
  • お申込先 : http//www.nihon-ai.com
  • 場所 : 曳舟(ひきふね)文化センター2F(墨田区京島1-38-11)
    ・京成押上線 / 都営浅草線「京成曳舟駅」より徒歩1分
    ・東武スカイツリーライン / 東京メトロ半蔵門線「曳舟駅」徒歩3分
  • 登録費 : 1,000円(茶菓代含む、お申込みは以上のサイトから)
  • お問合先 : 日本を愛するキリスト者の会事務局
    〒350-1137 埼玉県川越市砂新田4-1-23-203 レムナント出版内
    TEL 049-265-3567 / FAX 028-601-7130
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