תיכוניסטים ניצחו בתחרות מדענים עולמית

(オーラミート マダアニーム ベタハルート ニツフー ティホニスティム)

「高校生らが世界科学者コンテストで優勝」

2007年6月3日 マアリヴ紙電子版

シンガポールで行われていた「世界青年科学者コンテスト」で、アメリカ、イギリス、中国、日本などの強豪を抑え、イスラエルの高校生二人のチームが見事優勝しました。二人はエルサレムの科学・芸術アカデミーで学ぶラナン・グロス君と、ヤニヴ・サデー君。コンテストでは高校生たちが事前に準備してきた研究発表と、その場で出題される科学知識問題との総合点で順位を競いましたが、グロス君は地球の各地の気候をコンピューターで予測する研究、サデー君は脳神経網の研究を発表し、チームで最高点を獲得しました。

「תיכוניסטים」(ティホニスティム)は「高校生」の複数形で、「ניצחו」(ニツフー)はピエル態の動詞過去形で「勝利した」です。「תחרות」(タハルート)は「競争、コンテスト」、「מדענים」(マダアニーム)は「科学者」の複数形、「עולמית」(オーラミート)は「世界の」という意味の形容詞です。

「科学者」を意味する「מדען」(マアダン)は「科学」という名詞「מדע」(マダア)に、「~する人」の意味を表す語尾「ן」が付いた形です。

この「מדע」という言葉は、聖書では人間の知恵や知識ではなく、天から与えられる知識という意味で使われます。王になったばかりのソロモンは、神に「お前の願うものは何でも与える」と言われ、次のように答えました。

עתה חכמה ומדע תן-לי

(リーテン ウマダア ホフマー アッター)

「今私に、知恵と知識とを与えてください」(歴代志下1-10)

ソロモンは富や名誉ではなく、王として民を正しく導くための天の知恵と知識を求めますが、その時使われた言葉が「מדע」なのです。今回優勝の栄冠を勝ち取った二人が学ぶ「科学・芸術アカデミー」は、科学と芸術の分野でイスラエルの最高レベルの教育を施すため1990年に設立された高等学校です。このエリート学校の名称はヘブライ語で「ביה”ס התיכון למדעים ולאמנוית」(ベイト ハセフェル ハティホン レマダイーム ウレオマヌヨット)と言いますが、ここにもやはり「מדע」という言葉が使われています。

学校のHPに紹介されている教育信条を読んでみると、その内容は「優秀性とは全生活における謙虚さのことであり、高慢とは相容れないことを知る」「自分と異なる者への寛容と尊重の心を育てる」など、謙虚に全てから学ぼうとする人格と、民族や思想の違いを超えた人間愛を育くむ内容になっています。「מדע」というヘブライ語は元来「科学」という日本語では表しきれない、天から与えられる全人格的な知識を意味しますが、この学校の教育方針にもそのような意味が生きているようです。

今回の受賞を受けてベン・ダビッド校長は「何より世界の人々に私たちの教育方針を知ってもらえたことがうれしい」と語っていますが、ぜひこの学校がアインシュタインのような優れた科学者が生まれる学府となりますように。

参照

  • 「月刊イスラエル」2007年7月10日掲載

著者プロフィール : 小久保 乾門 (こくぼ・そろもん)

1966年2月大阪生まれ。1985年にイスラエル留学。キブツでの語学研修を経てヘブライ大学ヘブライ文学学科、聖書学科に入学。1991年卒業。帰国後、銀座教文館でヘブライ語教師としてのキャリアをスタート。その後札幌や旭川で7年間ヘブライ語を教え、また通信講座を開講。現在大阪、京都、神戸でヘブライ語講座開講する傍ら、大阪大学大学院文学研究科、関西学院理工学部でヘブライ語、聖書注解、ユダヤ教入門、イスラエル近代史などの授業を担当。