המרכזית מהכיכר הופל סדאם פסל בבגדד היסטוריה

(ハメルカズィート メハキッカール フバル サダム ベセル ベバグダッド ヒストリア)

「バグダッドの歴史的瞬間:中央広場のサダム像が倒される」

2003年4月10日 ワァラ・ニュース

米英連合軍とイラク軍によるバグダッド攻防戦は、イラク政府が取り続けた強気な姿勢とは裏腹に、意外なほどあっけなくその大勢を決しました。フセイン政権崩壊の象徴として最も強いインパクトを与えたのは、フセイン大統領の銅像がバグダッド市民によって倒され、踏みつけられるニュース映像でした。

聖書では「פסל」(像)という言葉は、ほとんどが忌むべき「異教の神々」という意味で使われています。聖書が「פסל לך תעשה לא」(ロー タアセー レハー ベセル)(刻んだ像をつくるな)と、偶像を厳しく戒めていることは有名ですが、その理由は「ホレブ(シナイ山)で主が火の中からあなた方に語られた日に、あなた方はなんの形も見なかった」からだ、と申命記に記されています。強烈な神との出会いの実態があれば偶像は必要なく、逆にその実態が希薄になると偶像に頼ります。

一つの国や民族を統一するには、人々の心を結び付ける共通の言語や歴史、シンボルなどが必要ですが、イスラエルでは出エジプトを通して体験した「神との出会いと救いの体験」が民族統合の力でした。そしてこの神との出会いを、安息日や祭りによって追体験し続けることが、民族存続の力だったのです。しかし神との接触が希薄になってくるとイスラエルの人々は「פסל」を拝む誘惑にかられ、ついにアッシリアやバビロニアに国を滅ぼされる運命となりました。この痛恨事を通してイスラエルの預言者らはより密接な神との出会いを切望し、やがてこの祈りの上にキリスト教も誕生するのです。

イスラムの教えもこの伝統を継承し、偶像を厳しく戒めているはずです。自分の銅像や巨大な肖像画を国中に飾りたてるのは民を抑圧する独裁者共通の特徴ですが、およそ神を畏れるアブラハムの子孫の仕業ではありません。

「彫刻する」という意味の語根「פסל」から「פסולת」(ブソレット)(「削りカス」、転じて「空虚なもの」の意)という語が派生しました。バグダッドも旅した中世のヘブライ詩人、エルハリズィーの一節を紹介しましょう。

הפסלת ונשארה הסלת נעדרה

(ネエドゥラー ハソレット ヴェニシュアラー ハブソレット)

最上の小麦は消え去り、カスが残る(セフェル・タフケモニー)

「הסלת」は「最上の小麦」を意味しますが、何事も大切な「הסלת」を失えば、「הפסלת」のみが残る、という戒めです。国のリーダーから「神を敬い、人民を愛する心」という「הסלת」が失われれば、「偶像と秘密警察」という「הפסלת」が幅を利かせます。

イラク新政権が神にも人にも喜ばれる政権となりますよう、心より祈るものです。

著者プロフィール : 小久保 乾門 (こくぼ・そろもん)

1966年2月大阪生まれ。1985年にイスラエル留学。キブツでの語学研修を経てヘブライ大学ヘブライ文学学科、聖書学科に入学。1991年卒業。帰国後、銀座教文館でヘブライ語教師としてのキャリアをスタート。その後札幌や旭川で7年間ヘブライ語を教え、また通信講座を開講。現在大阪、京都、神戸でヘブライ語講座開講する傍ら、大阪大学大学院文学研究科、関西学院理工学部でヘブライ語、聖書注解、ユダヤ教入門、イスラエル近代史などの授業を担当。