「中東のシリコンバレー」

テルアビブ市を中心とした、イスラエルの一部の地域では、ハイテク産業が非常に盛んで、多くのベンチャーと欧米の大企業とで一大産業を築いています。この四国の半分ほどの活力ある地域は、IT革命をけん引してきた90年代のシリコンバレーになぞらえて、“シリコンワディ”と呼ばれています。

テルアビブでは、ITベンチャーを中心に数多くのハイテクベンチャーが立ち上がり、しのぎを削っています。その数は3000とも5000ともいわれ、正に数えきれないほどのベンチャーがあるのです。イスラエルは、人口約800百万人(日本の約16分の一)ほどの小さな国ですから、これだけの数のベンチャーが存在しているというだけでも不思議なことです。

しかし、もっと驚くべきは、ここから、世界に影響を与えるほどの高い技術が生まれ続けているという事実です。

世界規模の大手IT企業が続々と進出

インテル社のイスラエル拠点

インテル社のイスラエル拠点(写真提供 : 筆者)

これに注目したIntel、IBM、Motorola、Microsoft等の欧米系企業がイスラエルに進出しています。これは高い技術をもつベンチャーを買収したり、現地で研究開発を行ったりするためです。

しかし、小さなイスラエルの技術開発力の根源はどこにあるのでしょうか。分野横断的な柔軟な発想、頑固なまでの粘着思考、大胆な行動力に飽くなき向上心でしょうか。イスラエルを真似たい国々では議論が尽きません。

マイクロソフト社のイスラエル拠点

マイクロソフト社のイスラエル拠点(写真提供 : 筆者)

いずれにせよ、ここから生まれた高い技術が、続々と製品化され、世界に影響をかえてきたと言っても言い過ぎではないでしょう。たとえば、ファイアウォール、USBフラッシュメモリ、高性能CTスキャン、カプセル内視鏡、Centrinoチップ…。

テルアビブ市内をタクシーで走ると、欧米系の大手企業の大きなビルが立ち並んでいるのが見られ、違う国に来たような感覚さえ覚える事もあります。この国では大手企業もベンチャー企業もなく、日夜新しい発明、アイデアが芽生えては、育ち続けています。

日本がイスラエルに学ぶべきものとは

似たように技術力をもつ私たち日本にとって、学ぶべきものがイスラエルにはあると思います。シリコンワディに憧れるのではなく、対抗するのでもなく。このコーナーでは、イスラエルの技術に焦点を当て、読者の皆様にご紹介していきたいと思います。どうぞ、よろしくお願いします。

Written by Y.O, H.T