日本に進出しているイスラエル企業を一つ紹介しましょう。
世界で活躍しているネタフィム社の子会社で、ネタフィムジャパンという「点滴灌漑」の会社です。
イスラエルは、よく知られていることですが、雨の極めて少ない国です。とくに南部ではほとんど雨が降りません。ところが、イスラエルの食糧自給率はなんと90%以上です。農業大国ともいわれます。
高い食料自給率を実現する「点滴灌漑」
点滴灌漑(写真提供 : ネタフィムジャパン)
その秘密はイスラエルが世界で最初に開発した「点滴灌漑」です。
必要な量の水と肥料をポトン、ポトンと農地に点滴して作物を育てます。土にしみ込む早さでゆっくりと水を与えると、強い根が発達し、植物が良く育つのです。
無駄な水も無駄な肥料も使わないので生産コストが節減されます。地下水汚染も土壌浸食も起こらない環境保護に役立つ技術です。
点滴灌漑のパイオニア、ネタフィム社
点滴灌漑技術を利用したフランスのじゃがいも畑(写真提供 : ネタフィムジャパン)
水理技術者ブラスが技術を開発し、1966年にネタフィム社は設立されました。
世界に13の工場と27の支社があり、110カ国でネタフィムは活動しています。水不足に苦しむ国々にとって、また世界の食糧確保にとって、なくてはならない会社です。
日本でも実績、被災地支援も
点滴灌漑技術を利用した日本のトマト水耕栽培(写真提供 : ネタフィムジャパン)
ネタフィムジャパンは1996年に設立されました。社長はズィヴ・クレメールさんという日本勤務の長いイスラエル人で、日本語を話します。
1994年に東京の恵比寿ガーデンプレイスの緑化を手がけ、大阪ドーム球場、東京六本木ヒルズ、羽田空港国際ターミナルなどの都市緑化プロジェクトを担当しました。
また、埼玉、広島、高知、島根、福島、千葉、大分、北海道、奈良、熊本と全国各地で農業用温室の点滴灌漑事業を展開しています。メロンやトマトがすくすくと育っています。
特筆するべきは、東日本大震災の被災三県に50セットの点滴灌漑システムを寄贈し、津波による塩害に苦しむ農家に土を使わない水耕栽培システムを供給していることです。