イスラエルに暮らす日本人の数は約700人だとか(2007年時)。 そのうち子供はどのくらいいるのでしょうか。
私が滞在していた11年前は、仕事の関係で数年間だけエルサレムに駐在するという日本人家庭はわずか10数世帯だったと思います。その内小学生くらいの子供のいる世帯は一握りでした。
同じイスラエル国内でも、テルアビブにはもっとたくさん駐在員家庭がいました。エルサレム駐在家庭の子供たちは、地元のヘブライ語の学校には通わず「アングリカン・インターナショナルスクール」と言う英語で授業をするイギリス系の学校に通っている子供がほとんどでした。
そんな中、日本語を勉強する機会の少ない子供に、週に1回数時間でもいいからと日本語の寺子屋を呼びかける人が現れました。駐在員家庭の奥さんではなく、イスラエル人と国際結婚しエルサレムに暮らす四児の日本人ママでした。
下の文章は、「在留邦人交流会」というミニ新聞に、その当時(1998年1月)掲載されたものです。寺子屋規模の小さな勉強会でしたが、意気軒昂な様子を読んでいただければと思います。
日本人学校補習校の準備校ともいうべき学校がスタートし軌道に乗っています。
「自分の誕生日を漢字で書けるかな?」「日本にはお月見っていう習慣があるのを知っていますか?」という具合に先生の声。本日も週1回の学校にエルサレム在住の12人の子供が集まり、元気に学習を始めています。
もともとこの会の始まりは、約3年前。場所はある個人のお宅。しかしなぜか学校にあるような大きな黒板があり、児童数人の小規模ながら、指導経験のあるお母さんが「日本の歳時記」や「言葉遊び」など工夫した教室を開いていました。
そして昨年9月頃からは参加する子供の数も大幅に増えてきたこともあり11月には個人の家ではなく公共の場所を借りて始める事になりました。より学校らしい場所、形、雰囲気でやるようになった訳です。本格的な準備校のスタートです。場所はエルサレム・ハツフィラ地区の幼稚園。費用は1家庭につき月40シェケル(約1200円)。日本の小学校に該当する年齢の子供対象。幼稚園児も参加O.K.。
その他ボランティアで教えてみようと思う先生大歓迎します。自分の子供に日本語学習の機会をあたえたいと考えている人、自分の日本語指導力をいかしたいという人どんどん参加して下さい。この学校はお客様ではいられません。みんなが主人公になって活躍協力しあっていきます。
今、自分で読み返すと頑張っていたお母さんたちの姿が思い出されます。
ヘブライ語と英語の飛び交うエルサレムに住んでいても、子供たちには日本語と日本文化をしっかり身につけてほしいという熱意を日本人関係の親たちは持っていたのだと思います。
最近は日本人学校が完備されている国でも、英語の教育を子供たちに受けさせたいという親が増えて、日本人学校の入学者が減少傾向にあるそうです。
私は、これからもイスラエルに住む日本人関係の家庭の人たちには、子供たちに日本語や日本文化に触れる機会を提供できるよう協力し合っていただければと願っています。
著者プロフィール : 石田 恵子 (いしだ・けいこ)
1995年から1998年まで、夫の転勤に伴いエルサレムに滞在。現在埼玉県在住の主婦。