シャローム!日本イスラエル親善協会学生部会部会長の松村悠太郎です。今回から学生部会の事業として、新たにイスラエル系企業インタビュープロジェクトを始動しました。このインタビューはイスラエル系企業にスポットを当て、イスラエルのことを多くの学生に知ってもらおうと企画した学生部会独自のプロジェクトです。

20151217_091353519_iOS

記念すべき第1回の企業は「ネタフィムジャパン株式会社」です。ネタフィムの事業について、またイスラエルと日本との関わりについて、ネタフィムジャパン株式会社代表取締役社長のジブ・クレメールさんが語ってくださいました。

――ネタフィムはどんな事業を行っている会社ですか?

点滴灌漑と呼ばれる農業システムを開発している会社です。点滴灌漑とは日本の田畑で多く見かける土全体に水や肥料をまくものではなく、コンピュータシステムを用いて作物の根に必要な量の水、肥料を供給するシステムです。水資源があまり豊富でないイスラエルで誕生しました。

――なぜ日本に進出しようとしたのですか?

この点滴灌漑は節水に役立つだけでなく、3つのメリットをもたらします。1つ目はコストダウンです。コンピューターで管理するので労働コストが低下する上、肥料の量が減少します。2つ目は環境保全です。根の部分にのみ肥料がいくので、無駄な肥料が地下水を汚さずにすみます。そして3つ目が収穫量の増加です。この点滴灌漑を用いることで、水、肥料、酸素のバランスが良くなり、平均で30~40%収穫量が増加します。こうしたメリットは日本含め多くの国の農業に活用できると考えました。

――日本ではどんな事業を行っていますか?

現在日本では、路地に点滴灌漑のシステムを導入するものと、ハウス栽培でのシステムの事業を行っています。その中で生育している作物は、みかん、お茶、ネギ、とまと、じゃがいも、にんにくです。日本企業とのコラボでは、カゴメととまと栽培を行ったり、また緑化活動として取り組まれているパソナ東京本部の「アーバンファーム」のシステムも担っています。

――被災地ではどんな事業を行っていますか?

震災直後は宮城県、福島県で津波の影響により、使えなくなってしまった土地に、“ヤシがら”で作った土を用いて、どこでも野菜が作れるような事業を行いました。現在は福島県新地町、南相馬市、いわき市にあるハウスで点滴灌漑のシステムを担っています。

――ジブさんはなぜ、ネタフィムに入社され、日本に来たのですか?

もともと私はキブツに生まれ、若い時から農業に従事したいと考えていました。ネタフィムはただ工業的にお金を儲けるだけでなく、環境や収穫の面から農家のためになることが多く、デメリットがありません。

日本にはネタフィムに入社するまえに、観光で訪れ、食べ物、文化、安全であることに魅力を感じました。しかし、なにより日本人のどんなことでもちゃんとやる姿がいつか日本に仕事したいと思う契機になりました。イスラエルでは仕事に対してテキトーな人も多いですが、そうした日本人のひたむきな姿には感心します。

――イスラエルはどんな国ですか?

いろんな意味で厳しい国です。特に周りのアラブ諸国との関係は難しいです。しかし、良い国はできたと思います。何もないところから、努力した力があります。

――日本とイスラエルの関係は今後どうなっていけばいいですか?

政治的な視点では、周りの国の脅威という点では似たところがあると思います。北朝鮮はイランとの繋がりが強いと言いますが、日本とイスラエルも手を取り、アメリカとともに強くなっていくべきです。

ビジネスの視点では、イスラエルはスタートアップ大国とは言うものの、まだまだマーケットとして規模が小さいです。日本のテクノロジーは世界的にも進歩しているので、車、エレクトロニクスの分野でイスラエルのベンチャーとのコラボが実現できればいいと思います。

また、農業分野では、日本の農業はスモールスケールであるため、TPP、食料自給率の低さ、農業就労者の高齢化の問題を考えれば、今後はイスラエルの農業技術を活用し、変化していく必要があると思います。

――日本とイスラエルの学生間の交流に関して期待することはなんですか?

将来的に日本とイスラエルがもっと親密になるには、互いのことを勉強する必要があります。イスラエルの学生で中国に関心をしめす学生は多いですが、日本はまだまだ少ないです。また、日本ではよく“イスラム”と“イスラエル”を勘違いされてしまいます。メディアの影響から危ない国というイメージも根強いです。そうしたイメージを学生に変えて欲しいと思います。どんな国でも学生は力があります。

インタビューを終えて

私自身、被災地の高校生代表としてイスラエルに派遣された経験があることから、こうした被災地で事業を行っていることに感銘を受けました。また、ビジネスとしてだけでなく、環境にも配慮されている点滴灌漑は今後世界中に広まってほしいなと思います。

この記事を書いた人

松村悠太郎
学生部会部会長。青山学院大学教育人間科学部教育学科4年。高校3年生の時に被災高校生代表としてイスラエルに訪問。現在は、青山学院大学ボランテイア・ステーションで東北復興ボランティア活動に従事。イスラエルと東北を繋げることを目標に学生部会の部会長として活動中。