シャローム!学生部会部会長の松村悠太郎です。前回に引き続き、現地イスラエルからの情報です。

今回インタビューをしたのは、Wix.comで日本向けにマーケティングを担当されている田澤潤子さんです。Wix.comと言えば、誰でも簡単にホームページを作れる無料ホームページ作成サービスとして利用したことある方も多いのではないでしょうか。

会社の話に加えて、テルアビブ在住ということでイスラエルの魅力についても話してくださいました。

今回インタビューを受けていただいた方

田澤潤子さん

田澤潤子(たざわじゅんこ)さん

イスラエルテルアビブ在住。Wix.comのイスラエル本社でマーケティングマネージャーとして勤務。地球の歩き方のテルアビブ特派員としてイスラエルの情報もWeb上で発信している。

会社の概要、サービスの特徴について詳しく教えてください。

Wix.comは誰でも簡単にデザイン性と機能性の高いWebサイトを作成できるクラウドサービスです。2006年にイスラエルのテルアビブでスタートアップ企業として始まり、現在では世界合計のユーザー数が8500万人を超えるまでに成長しました。ウェブ作成にあまりコストをかけることができないスモールビジネスや、フリーランサーを主なターゲットとしています。

Wix.com

最近では単なるウェブサイト作成ツールという定義から脱出して、メルマガ作成・配信システムやオンライン予約受付システムの他、音楽配信機能など業種別ニーズに合わせた機能をリリースしており、総合的なデジタルマーケティング・ツールとなるべく進化を遂げています。

予約受付システムや音楽配信サービスは具体的にどのようなものですか?

予約受付システムWixブッキングという機能です。

例えば美容院などが予約を受けるける際に、普通は電話を使うのが一般的ですが、それだと人員を配置しなければなりません。しかしWixブッキングをホームページに導入することで顧客向けに予約の空き情報のカレンダーを公開し、サイト上で簡単に予約を受け付けることができます。その他、予約時のオンライン決済機能やグーグルカレンダーとの同期機能も搭載しています。

音楽配信サービスはミュージシャン向けに特化したツールです。音楽のダウンロード販売はもちろんのこと、ライブチケット販売やプレスキットの共有機能も付いています。iTunesやGooglePlayを含む世界120以上の音楽配信サービスと提携しています。このように、ビジネスのオンライン化により効率性を高め、収益拡大に貢献するツールとなっています。

日本での進出は今後どのように考えていますか?

Wixは2012年から日本語で展開を開始しており、以来順調にユーザー数が増えています。今後はこのペースを加速させ、日本での認知度の向上、ユーザーベースの更なる拡大を目指したいと思っています。

田澤さんご自身のイスラエルとの関わりはどういったものなのでしょうか?

イスラエル人の夫との結婚を機に、2014年5月にイスラエルに移住してきました。それまではイスラエルとは全く無縁だったのですが、前職でインドに駐在していた時に、何人かイスラエル人の友達ができて、そのうちの一人が現在の夫でした。

こちらに移住後はじめはウルパンと呼ばれる移民向けのヘブライ語教室に半年通いました。そこから就職活動をはじめ、Wix.comに就職して現在に至ります。

Web版の地球の歩き方でイスラエルの情報も発信されていますよね?

はい、もともとこのページのことは知っていたのですが、私がイスラエルに来た際に誰もイスラエル情報を発信していなかったので、自ら手を挙げました。月に数回のスペースでイスラエルのお勧めスポットなどを発信しています。

田澤さんから見たイスラエルの魅力はなんですか?

Wix.com本社から見える景色

地中海と食べ物ですね。元々海好きなので、生活に海の風景があることはノリが上がります。Wix本社は海辺にあるのですが、仕事で嫌なことがあった時には屋上に行って地中海を一望することでリフレッシュしたりしています。

イスラエル料理

食べ物に関しては、味付け、絶妙なスパイス使いがうまく、結構レベルが高いです。日本から遊びに来る友人たちも口を揃えてイスラエルは料理が美味しいと言ってくれるくらいです。美味しいだけではなく、野菜や豆類を多く使う料理が多いので、バランスの取れた食事であることも魅力です。米や豆など素材の部分で日本と共通する部分も多くあります。

テルアビブは特に色んな国の料理がありますよね?

イスラエル海沿いのレストラン

はい、レストランのジャンルの幅は広いです。2000年前に世界に離散したユダヤ人が、1948年のイスラエル建国によってこの土地に戻ってきた際に、今まで住んでいた国の食文化も一緒に持ち帰ってきたと言われています。

イタリア料理などヨーロッパ全般の料理はもちろんのこと、イエメン料理やモロッコ料理など日本ではあまり馴染みのない料理もあります。また、寿司が最近ではイスラエルでは人気です。日本人から見るとあれは寿司からかけ離れてはいますが、これはこれで料理としては美味しいです。(笑)

イスラエルのおすすめのスポットはありますか?

イスラエル北部のガリラヤ地方にあるツファットとアッコという都市はおすすめです。両方ともとても古い歴史のある町で、石畳の細い路地を迷子になりながら散策するのが楽しいです。イスラエルの一般的なイメージは砂漠ですが、北部は水源豊かで緑が多く、この地方にはハイキングスポットも沢山あるんですよ。

その他、エルサレムも私は好きです。テルアビブからだと日帰りで行けるので、わりとよく遊びに行きます。旧市街の城壁を散策するのが楽しいです。

イスラエルで2年過ごされてみて日本との違いはありますか?

はじめは、色々な面で日本と真逆な側面の多いイスラエルの文化へのカルチャーショックで苦労しました。

例えば、イスラエル人はコミュニケーション上の表現が超ダイレクトで合理主義な点。英語で話す場合でも同じです。「なんてぶっきらぼうな、、、」「そんなにキツく言わなくても、、、」と思うことがよくあり、その度に傷ついていました(笑)。彼らの観点からすると、端的に結論が伝わる方法で合理的に物事を述べているに過ぎず、全く悪意はないんです。

こうしたカルチャーショックも時間と共に慣れる努力や、なぜそうなのかという文化的背景を理解しようとする努力によって克服できることがわかり、最近では気が楽になりました。

イスラエルの働き方はどうですか?

働き方も、日本のそれとは180度異なることがよくあり、特に最初の1年は本当に苦労しました。

例えば、社内の人間関係がフラットな点。自分の上司に対しても、異論も含めてどんどん意見を言ったり、必要であれば徹底的に議論することが当然であり、むしろ評価されるのです。

もう一つは、失敗から学べという姿勢が奨励されている点。失敗をしないと人は新しいことは学べないという哲学と、新しいことにチャレンジするクリエイティブなマインドを評価し、そしてもし失敗したとしてもそれを責めるのではなく次のチャレンジへの学びの材料であると捉える考え方が浸透しています。

裏返すと、これらの企業文化はイスラエル企業の強さの秘訣であるとも言えます。

日本とイスラエルの関係性について今後どうなればいいと思いますか?

イスラエルは固定概念に問わられない発想やひらめきを生み出すことに長けている国家だと思います。一方で、忍耐強く正確にコツコツと作業を進めることがどちらかというと苦手です。

つまりイスラエルと日本の強みと弱みが逆転しているとも言えるので、両国間の企業が手を組むことでお互いを補完できることに大きなシナジーがあると思います。

去年の安倍首相のイスラエル訪問を機に、日本のメディアでのイスラエルに関する特集が急激に増えています。しかもビジネスの面だけではなく、ファッションやカルチャーの面でイスラエルを紹介したものも含まれています。日本でビジネスと文化の両方でイスラエルに関する関心が高まっていることは、イスラエルに住む日本人としてとても嬉しいことです。

今後もこのような傾向が続き、さらには高まって欲しいと願っています。

学生間の交流で期待することは何ですか?

2国間には物理的にも文化的にも距離が大きいので、まだまだお互いの国について知らない人が結構多いと思います。

感性が柔軟で、比較的時間に自由のあるのある学生の時に、日本とイスラエルとの交流の場を設けることはとてもいいことだと思います。今後の日本イスラエル親善協会の学生部会の皆様の活動に期待しています!

この記事を書いた人

松村悠太郎
学生部会部会長。青山学院大学教育人間科学部教育学科4年。高校3年生の時に被災高校生代表としてイスラエルに訪問。現在は、青山学院大学ボランテイア・ステーションで東北復興ボランティア活動に従事。イスラエルと東北を繋げることを目標に学生部会の部会長として活動中。