戯曲『ディブック」とは?
『ディブック』とは、ユダヤの民間伝承に伝わる悪霊伝説を下敷きに、前世の契りによって結ばれた若い男女が辿る悲劇を描いたユダヤ演劇史上もっとも有名な戯曲です。
1920年にワルシャワでイディッシュ劇団による初演が好評を博し、1922年にはモスクワでヘブライ語劇団による上演が大反響を呼んで以来、この作品は、英語、ドイツ語、ロシア語、フランス語、ポーランド語、ウクライナ語、スウェーデン語、ブルガリア語、ルーマニア語、エスペラント語などに翻訳されて上演され、世界中の観客を魅了してきました。その反響は遠く日本にも及び、1930年(昭和5年)には、「ディブツキ」(エス・アンスキイ作)として『世界戯曲全集』(世界戯曲全集刊行會)の第39巻(西班牙・猶太劇集)に収録されています。
『ディブック』は、とくにロシア演劇界の鬼才Y・ワフタンゴフ演出による「ハビマ座」の上演(ヘブライ語)が世界演劇史上に残る伝説的な舞台の一つとなり、これを観たソ連映画界の巨匠セルゲイ・エイゼンシュタインは生涯忘れ得ぬ経験の一つに挙げ、ドイツ演劇界の「皇帝」マックス・ラインハルトは「これは演劇ではない、神の礼拝だ」と述べています。また、映画、ラジオ、テレビ、オペラ、バレエなどに次々と改作され、バレエ作品『ディブック』にはレナード・バーンスタインが楽曲を提供しています。
85年ぶりの再訳を記念してイベント
2015年10月、ポーランド文学古典叢書第5巻として『ディブック / イヴォナ』(西成彦編、赤尾光春・関口時正訳)が刊行されました。今回の翻訳は実に85年振りの「再訳」にして、イディッシュ語による戯曲テクストの日本語訳としては初の試みとなります。
このようにユニークな遍歴を辿った作品の日本語訳の刊行を記念して、朗読劇『ディブック』の上演と東欧ユダヤ音楽の演奏会(シアターX)が開催されます。さらに公演最終日の翌日(2月6日(土))には、記録映画の上映とシンポジウム「越境するユダヤ演劇」(東京大学本郷キャンパス)も予定されています。
「このたびの企画が、失われた東欧ユダヤ世界の豊穣な文化のみならず、演劇がもつ文化的越境の可能性に触れていただける機会となれば幸いです。(主催者談)」貴重な機会ですので、ぜひ皆様足を運ばれてみてはいかがでしょうか?
朗読劇『ディブック–二つの世界のはざまで』
イベント | シアターXカイ特別提携公演 dybbuk projekt 朗読劇『ディブック–二つの世界のはざまで』(S・アン=スキ作、赤尾光春訳) |
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日時 | 2016年2月4日(木)・5日(金) 18:00〜20:45(開場 17:30) |
会場 | シアターX 東京都墨田区両国2-10-14 両国シティコア内 Tel 03-5624-1181 アクセス ※JR総武線両国駅西口下車、左へ徒歩約3分 / 都営地下鉄大江戸線両国駅A4・A5出口徒歩約8分 |
参加費 | 無料 |
定員 | 各回160名 |
予約受付 | 070-5350-1972 / e.pithecanthropus[at]gmail.com(atは@に変換してください。担当: 赤尾) |
プログラム |
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イベント詳細 | 神戸・ユダヤ文化研究会 |
『ディブック』–記録映画上映とシンポジウム
イベント | 『ディブック』–記録映画上映とシンポジウム -越境するユダヤ演劇- |
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日時 | 2016年2月6日(土) 13:30〜18:30 |
会場 | 東京大学本郷キャンパス 法文2号文学部1番大教室 |
参加費 | 無料(事前申し込み不要) |
定員 | 220名 |
プログラム |
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主催 | 東京大学文学部現代文芸論研究室 / 文部科学省・科学研究費・基盤研究(C) ※本企画はJSPS 科研費 15K02462 の助成を受けて実施するものです。 |