プリムで仮装を楽しむ子どもたち
プリムで仮装を楽しむ子どもたち via Amit Bronstein

仮装のお祭りといえば有名なのがハロウィンで、日本でも子どもたちが仮装して近所を練り歩く光景をよく目にするようになりましたね。

ハロウィンは毎年10月31日ですが、この時期にも大きな仮装のお祭りがあります。それがイスラエルで行われているユダヤ教のお祭り、プリムです!

(テルアビブで仮装して集まった大勢の人たち。楽しそうですね!)

プリムはユダヤ暦アダルの月の14日に行われますが、今年(2016年)は3月23日にあたります。その数日前から、イスラエルでは子どもから大人まで仮装をして楽しむ光景をよく見かけますが、オフィスでスタッフ同士で仮想するなんていうのもポピュラーなようで、SNSには楽しそうな写真がたくさんです。

(IT系企業、Red Hatのイスラエルオフィスの皆さん。企業カラーに合わせた?ゾンビの仮装でしょうか…)

ただ仮装をして騒いで楽しんでいるだけのように見えるプリムですが、そこにはちゃんと歴史的な背景があります。今回は、そんなプリムの由来について少しだけご紹介したいと思います。

旧約聖書の「エステル記」を起源に持つお祭り

プリムは、旧約聖書のエステル記を起源に持つお祭りです。

紀元前586年、エルサレムはバビロニアに滅ぼされ、ユダヤ人の多くは「捕囚」となりバビロニア各地へ強制移住させられました。歴史の授業で習った方もいるかと思いますが、これがいわゆるバビロン捕囚です。

当時のペルシア大王、アハシュベロッシュの新王妃となったエステルというユダヤ人女性がいました。王の高官ハマンは、エステルの叔父であるモルデハイが自分に頭を下げないことに腹を立て、ユダヤ人虐殺計画を企てますが、それにモルデハイは気がつきます。

モルデハイはエステルの協力を得てハマンの策略を暴露してユダヤ人を救い、逆にハマンを死刑に追い込みます。さらにハマンが出したユダヤ人虐殺命令書を無効にするように王に嘆願し、ユダヤ人を迫害する敵と戦う許可をもらえるよう願い出ました。

モルデハイが王から1日だけの報復許可をもらうと、ユダヤ人に危害を加えようとしていた勢力は恐れから何もできず、モルデハイは大勝利を収めました。これがアダルの月13日のことです。

翌14日は喜びに溢れて大宴会を開き、民族が救われたことを喜び踊ったと言われています。これが、アダルの月14日にプリムのお祭りが行われるようになった由来です。

参考

プリムはどのようにして過ごす?

プリムでは冒頭でご紹介した通り仮装をして皆で騒いで過ごします。この日は酔い潰れるまでお酒を飲んでもよい日、とされているそうです。もちろん、そんなことお構いなしに飲んで騒いでいる人たちもいると思いますが…。

シナゴーグではエステル記を朗唱し、ハマンという言葉を読み上げる時に皆でカスタネットのような楽器を叩いたりしてハマンという言葉をかき消したりします。

そしてプリムで忘れてはいけないのは「ハマンの耳(オズネー・ハマン)」というお菓子。けしの実のジャムをクッキー生地で三角形に包んで焼いたお菓子です。ユダヤ人を殺そうとしたハマンを記憶するために、耳の形をしたお菓子を食べるそうです。

自分達が受けた苦難、喜びをお祭りという形で忘れないようにする、ユダヤ人らしい習慣ですね。