1番
エレツ・エレツ・エレツ
雲一つない青い(空の)大地
太陽はこの地にとって
まるで乳と蜜のようだ
私たちが生まれた地
私たちが生きつづけるこの地に
私たちは住みつづけよう
何があろうとも

(繰り返し)
私たちの愛する地は
私たちにとって、母であり、父である
この地は、この民の地、永遠の地
私たちが生まれた
私たちが生きつづけるこの地は
何があろうとも そうありつづける

2番
エレツ・エレツ・エレツ
砂浜によせる海も
花々も、子供たちも
絶えることがないこの地よ
北にはガリラヤ湖があり
南には砂漠がある
そして、東は西へ向かって
国境に接している

3番
エレツ・エレツ・エレツ
聖書の地よ
あなたは光の源であり
聖なる言葉の源である
かけがえのない地よ
あなたは、これが神話でないことを証しした

※ヘブライ語の「エレツ」には土地、大地などの意味があり、そこより転じて国、国土としても使われる。

約束の地、イスラエルの大地を唄う

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この歌の作詞・作曲者はシャイケ・パイコフ(1937-)さんです。イスラエルでは、踊りの曲として有名です。2006年、私は音楽プロデューサーのハナン・ヨベル氏の紹介で、テルアビブに住むシャイケ・パイコフさんの自宅を訪問し、インタビューしました。

「この歌はシュロモー・ツァフというプロデューサーに依頼されて作りました。シュロモーは、たくさんのイスラエルの歌手をプロデュースしている人です。ある日、彼が私に、このすばらしいイスラエルの土地を賛える歌を作ってほしいと依頼してきました。その時私は愛国的な気持ちでいっぱいになりました。

このイスラエルの大地は、ここに住む私たちの父であり母であります。私たちはここで生まれ死んでいく。たとえ戦わなければいけなくとも、私たちにはここ以外に国はなく、ここで生きつづけます。なぜなら、ここがわれわれの「約束の地」だからです。そこが小さくとも、イスラエルの人たちの全てであります。私はこの思いからこの詩を書きました。

その後、 ある有名な女性歌手がこの歌を歌いました。それからこの歌は国民的な歌になり世界じゅうに広まりました。たくさんの人に歌われ、またさまざまな言語に訳され歌われています。私は今までたくさんの歌を作ってきましたが、その中でもこの歌が最も国民に愛され、数多く演奏されてきました。私はこの曲を昨日書いたかのような気がします。それは常に新しくされて本にも載り、他国語に訳されて、まるで生き物のようです。歌は作曲した人よりも長く生きつづけます。

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出だしはあたかも人に語りかけるように『エレツ(祖国)よ、お聞きなさい』と始まります。そしてエレツへの慕情の高まりとともに、リズムのある曲調へと展開します。この歌の曲想は、愛する国への思いと、国をひとつの人格になぞらえて語りかけることに、終始貫かれています」。

この記事を書いた人

村上義弥
1960年生まれ。1983年~1984年イスラエルに留学し、イスラエル音楽に心惹かれるようになる。1996年、ナオミ・シェメル、エフード・マノール、ドヴ・ゼルツェル氏等、約30名のイスラエルの音楽家を半年間かけて取材。その後も2003~2006年、2008年と続けて音楽家取材でイスラエルを訪問する。またイスラエルのギター奏者の第1人者オーリー・ハルパズ氏よりギターを習得。現在広告代理店勤務。