去年の夏、日本の文化を知るため、ヘブライ大学で日本学を教えているオトマズキン・ニシム博士と13人の学生が日本を訪れました。

彼らが東京で開かれた日本の学生との交流会に参加するまでに、新潟に3日間ほど滞在していたと知ったのはニュースの特集でした。今回はその特集についてまとめたいと思います。

(作成: 学生部会 菅根友利花

寺院での滞在で日本文化を体験

新潟市に延命寺の住職、薄田東仙さんを訪れた一行。東仙さんは石に字を刻む、刻字作家でもあります。東仙さんとイスラエルの出会いは2008年。ヘブライ大学に招かれ、日本の芸術として刻字の特別授業を行ったことにより、毎年訪れるようになったといいます。そこにはお互いの元気そうな姿に喜ぶ様子も。

彼らの最初の滞在先は新潟市江南区にある北方文化博物館での見学でした。美しい風景に思わず声がでる様子もありました。そして見学を終えた後、その隣にある大栄寺を訪れました。そこでは実際に寺に泊まり、日本文化を体験する姿が見られました。寺での夜は、東仙さんの指導による、好きな漢字を一つ選んで書く、一文字写経に挑戦し、字の大きさなどアドバイスを受けて楽しそうに書いていました。

2日目は座禅でゆっくりと朝を迎え、朝食をとりました。おかゆを食べる場面では、茶碗をゆすいで飲む、最後まで食べ物を無駄にしない文化を体験した様子が映されていました。最後には宿泊の恩返しを掃除でする姿もありました。

大栄寺の住職の五十嵐さんは、宗教も文化も違うイスラエルの学生たちの宿泊を受け入れた理由をこう語っています。「相手のことを分かるには、実際にその国に行くとか食事をするとか話すとか、経験することでしか分かり合えないことってありますからね。」まさにその通り。

オトマズキン先生も、日本に実際に行ってみないと、様々な人や意見、文化があることを理解できないとおっしゃっていました。たくさんのメディアで簡単に物事を知れるようになっても、根本的なイメージは行ってみることで大きく変わることもありますからね。寺に泊まる経験はもちろんイスラエルからきた彼らにとって初めてで、とても貴重な経験になったと喜んでいました。

遠く離れたイスラエルの学生が、現代日本人が忘れてしまっているような日本文化の経験をしていることに私は大きな衝撃を受けました。

NST新潟総合テレビを訪問

また一向は新潟中央区にあるNST本社、ニューススタジオを訪れました。

日本ではよくニュースに取り上げられることから、イスラエルは戦争が近い国として見られることが多いことに対し、オトマズキン先生はメディアによって報道された戦争というネガティブなイメージだけでなく、イスラエルにも素晴らしい学生、文化があることを広めたいとおっしゃっていました。

NST取締役の古塩さんは、人がどうあるべきかを追いかけるのがメディアであり、そのためには実際に人と人とが会って話をする、他国を知ることが一番必要だとコメントしていました。

3日目の朝、新潟を出発する一向に、東仙さんは今回の体験を踏まえて新しいことにチャレンジしてほしいと送り出していました。この新潟での日本文化の経験は、人との関わりあいの中で得るものがたくさんあり素晴らしかったと彼らは言います。学生たちの”知りたい”という気持ちは両国をつなげる欠かせないものといえるでしょう。

  • この記事を書いた人

    菅根友利花
    国際基督教大学教養学部アーツサイエンス学科。教育、公共政策、国際関係などのメジャーを専攻中。高校時代から中東情勢に興味を持ち様々なアプローチ法を大学で学んでいる。